Bye Bye Moore

PoCソルジャーな零細事業主が作業メモを残すブログ

「レファレンス協同サービス」で司書さんが調査した情報を過程を含めてみる事ができる。

情報の時代21世紀に入って15年以上がたちました。
アメリカで出ている新聞の朝刊一日分が、中世の農民が一生に触れる情報に匹敵するなんて話も出るほど、この世には情報が溢れかえっています。
さらに図書館やインターネットの普及により、それら情報へのアクセス権限は比較的格差が縮小したといえるでしょう。*1
にもかかわらず、ゴミ情報に阻害され価値あるモノに到達できずにいる人が多いように感じます。

こういう時代にあっては質の高い情報を集めるスキルが人生の質を決めると言っても過言ではありません。
その役に立ちそうなサイトが、今回主題の「レファレンス協同サービス」です。
レファレンス協同データベース
これは国立国会図書館が主催する知識集約型サイトで、日本全国の司書さんが集めた情報をQ&A形式にしてまとめています。

実際のところ

例として、
「大東京名物・空気の缶詰」とはどんなもので、いつ頃発売されたのか? | レファレンス協同データベース
という記事をみていきましょう。

「質問」「回答」「参考資料」「キーワード」と、まぁここまでは、よくあるQ&Aの項目ですね。
ただ、この記事のキモはそこではなく「回答プロセス」にあります。
抜粋すると

1)『昭和・平成家庭史年表1926-1995』には、昭和43年(1968)に初登場した商品のひとつとして“東京の空気の缶詰(東京タワーの土産物店から)”と、記されています。

2)「朝日新聞[東京]」昭和43(1968)年9月6日朝刊 には、土産物店で目についたものとして、“サケかんほどの大きさで、1個 百二十円。横腹に「大東京名物、汚れた空気のカン詰め、田舎では得られない珍品」とある。売り出してから一週間ほどになり、買い手はポツポツとか。……浅 草のブロマイド屋さんのアイデアで、ねらいは、世の中に、笑いのタネをまくことだという。”と、写真入りの記事が掲載されています。

3)東京都江戸東京博物館では≪大東京名物 空気の缶詰≫を所蔵しており、収蔵品検索サイト「TOKYO DIGITAL MUSEUM(トーキョーデジタルミュージアム)」で、その写真を見ることができます。収蔵品のデータから、製作元は“MARUBERUDO”(マルベル堂)であることがわかります

≪大東京名物 空気の缶詰≫とは別に、平成2(1990)年頃に富士山で売り出された空気の缶詰がありました。山小屋経営者の発案で、登山道に捨てられた空き缶を洗浄して飲み口をシールでふさぎ、富士山の絵柄のラベルをつけて≪富士山のおいしい空気だよ≫という名称で販売されました。価格は一缶100円。購入した人がすぐにポイ捨てをしないように、ラベルには “80歳になるまで開けてはいけない”とプリントされていたそうです。(参考「読売新聞」平成2(1990)年8月17日朝刊(『月刊百科No.339』に記事の引用あり))

(参考文献・ウェブサイト)
1)『昭和・平成家庭史年表 1926-1995』下川耿史河出書房新社 1997 (2107 / 371 / 97) p.367
2)「朝日新聞[東京]マイクロフィルム版昭和43年(1968)9月(上)」より、昭和43年9月6日朝刊(FAS / 1 / 729 )
3)TOKYO DIGITAL MUSEUM(トーキョーデジタルミュージアム) http://digitalmuseum.rekibun.or.jp/edohaku/app/collection/list?sk=MARUBERUDO%2F%90%BB%8D%EC  (最終アクセス日:2013年4月27日)
4)「読売新聞 マイクロフィルム版 平成2年(1990)(中)」より、平成2年8月17日朝刊(FYO / 1 / 1278)『月刊百科 No.339』平凡社 1991 p.43

と、このように司書さんの思考手順が明記されているのです。
この流れを一通り学ぶと、自力で目的の情報に到達する能力も高まります。

また、
「山月記」(中島敦)の原典といわれる「人虎伝」の口語訳を探している。 | レファレンス協同データベース
の例にあるように一般ユーザからの情報提供も随時反映される仕組みになっています。

さいごに

冒頭にも書いた通り、世の中には出処不明の怪情報満載の「タブロイド紙」や「まとめブログ*2」が跋扈しています。
そういった低レベルな情報源に慣らされると、知らず知らずの内に陰謀論や不毛な階級闘争の沼に陥る羽目になります。
時間を割く手間で、こういった質の高い情報や時代の波を越えた名著を読む方が脳味噌や貴方の貴重な時間を溶かさずに済みます。
質のいい情報に触れて、人生の質も高めていきましょう。

*1:国家機密とかはありますが

*2:キュレーションサイトと自称している事も