Bye Bye Moore

猫マンション建築の野望を胸に零細事業主として資本主義の荒波に漕ぎ出したアラサー男の技術メモ

【読書メモ】起業家はどこで選択を誤るのか

起業家はどこで選択を誤るのか――スタートアップが必ず陥る9つのジレンマ

起業家はどこで選択を誤るのか――スタートアップが必ず陥る9つのジレンマ

なんと584ページ。
英語専門書の翻訳本みたいな重い組版に、
それを上回る重い内容が積み重なって、そうそう簡単に読み下せる本ではありません。

帯のアオリからして

だれと起業するか? だれを雇うか? だれに投資してもらうか?

と、3年経営やっていれば何となく自社でも心当たりができそうな嫌な話がテンコ盛り。

「富か、制御か」という話題を軸にして会社運営でありがちな課題について議論が進んでいきます。
たとえば、投資を受けるならば会社のコントロールを一部外部に渡さないといけない……しかし創業者は自分の作りたいモノと相反する提案をされるのを嫌う……といった具合です。
あるいは、即戦力なエンジニアを雇う際に「高給与に低いストックオプション」か「低給与に高いストックオプション」かを選ばせる判断……など。

人の問題については、以下のブログ記事でこんな話題がありました。
new.akind.center

もっと儲けるためには、英雄の異能を会社の仕組みに落とし込んでいくしかない。英雄頼りの経営を抜け出さねばならない。拡大するしかない。そして、もちろんコンプライアンスと労働環境だって整えていかねばならない。

会社を継続・発展させるためには、属人性を排除しないといけません。
これはコントロールを創業者や英雄から引き剥がし、ビジネスシステムに移譲する事を意味するわけです。
上記の揉め事は「儲かりはするんだろうが、オレの与り知らない所で勝手にカネがでてくるのは面白くない」といった、
ある種の頑固職人気質の話とも言えるでしょう。


全編こんな調子なので、共感性羞恥の傾向が強い私は
自分が失敗したかのようで終始辛い感じで読まざるを得ませんでした。
とはいえ、胃に穴をあけてでも読み切る価値はあると私は思います。
10年間の間に1万人を取材して得られたケーススタディですから、
そこらの訳知り顔な投資家連中の聞きかじりとは説得力が違います。

蛇足:職人気質云々について

仕事のコントロールをしたい職人気質の事は、
スモールビジネスの名著「はじめの一歩を踏み出そう」でも書かれています。
こちらも素晴らしい本なので、是非。

はじめの一歩を踏み出そう―成功する人たちの起業術

はじめの一歩を踏み出そう―成功する人たちの起業術