Bye Bye Moore

PoCソルジャーな零細事業主が作業メモを残すブログ

真冬の夜の営業テク 第一章「住宅営業!  零細事業主の逆襲」

あまりに衝撃的だったので、長文ですがまとめます。
だって、「悪の営業ノウハウ」そのまんまな事例が来たんですもの。

第一章「住宅営業!  零細事業主の逆襲」

業務の疲れからか、不幸にも浅黒い営業マンの来訪を受けてしまう

今日はめずらしく早めに帰宅できたので雑魚寝してました。
すると……珍しくチャイムが。
基本日付変更前後帰宅の超絶社畜ライフで、宅配便の受け取りすら職場でやっている状況です。
チャイムなど、本来鳴る訳がありません。
覗き込むと、浅黒い、”いかにも”な男性が。

不動産会社の尖兵、北海道出身の元野球部YKBから示された示談の条件とは……?

北海道出身の元野球部で住宅環境改善の聞き取り調査をしているという彼曰く、

  • 駅前開発のフンダララで意識調査をしている
  • 最近、この地域を委託され*1説明を実施している
  • 顔写真つきの身分証を提示*2
  • 法律上、玄関口じゃ話ができない
  • 話をしたからといって、なにか売るわけじゃないのは確約する*3
  • 何度も訪問してチャイム押すのは近所迷惑に繋がる*4
  • 気持ちはわかるが、ちゃんとした調査なんだと苛立ち気味の口調に変化*5

結構粘ります。
そう、彼は分かっているのです。
営業活動のキモは「小さいYES」を積み重ねていくこと。
特に、紹介を使えない訪問営業では、最初のYESたる「玄関に入ること」が最難関です。
逆に、統計上は入ってしまいさえすれば約束を取り付けるのは容易であるとされています。
……何故かって?
家主が玄関に上げたのは、入り口で騒いで煩いから。
上げた後だって、煩いやつの一秒でも早く追い返す事しか考えていません。
それを念頭において行動すれば、以降のYESの取り方なんてある程度パターン化できるんです。

YKB「クルルァ! 住宅への意識持ってんのか!」

今回は本で見た「ソレ」が実際にどうなのかを検証するために、敢えて玄関口に上げました。
大方のアクションは大体予想通りでした。
ただ一部に「お、その手で使うのか」ってテクがあったので、嫌な思いした甲斐はあった感。
上げてからのトーク・アクションを箇条書きすると

  • 「あなたの為なんです」「豊かな住宅事情のため」と御為ごかし
  • 身の上話をし、「〜じゃありませんか?」とバーナム効果*6で小さな「YES」を釣り上げる
  • 相手に話をふり、身辺調査を何気なくする。
  • 何とかして、名前を聞き出す。*7
  • 仕事の状況などを聞き出す。*8
  • 趣旨説明は、ノートに赤ペン書き。ライブ感を演出
  • 自分の身の上は(事実かどうかはともかく)よく出す
  • こちらが値踏みする体をみせると、「貴方に為にやってるんですよ?」と小学校のセンセ風の掌握術
  • 【やや下手打ち】自分の所属情報は見せない。

と、一通り説明を終え次回説明……と称する、事実上の見込み客聞き取り会の日程調整に入ります。

ぼく「日程決めたら帰ってくれるんですか」YKB「おう、考えてやるよ」

さあ、いよいよオマチカネ! クロージングです。
私自身冗談抜きに忙しいので二週間後という事になりました。
途中、日程調整について、忙しい上司と相談し「アナタの為」をする演技を決めてくれます。
まぁ、「公的調査」を匂わせて入ってきた割に前倒しを言ってくるあたり、
この辺りのプロセスはもうちょっと改良が必要なんじゃないかなと思いますね。

で、です。
ここからが驚きポイントだったのですが、日程調整が終わったあとに
「住宅展示場とかで、アンケートってあるじゃないですか。次回面談でお時間とらせないために……」
と、このタイミングで個人情報収集をブチ込んできました。
ここは思わず「おっ流石プロは違うな」と関心。
てっきり、日程調整で終わりだと。
そう、カモ客の心理は、すでにYESを取りまくっているので、無自覚に相手の障壁は低くなっています。
警戒はしているんですが、「えーまだあるの? さっさと答えて帰らせなきゃ」といった感覚でしょう。
こういう状態で一番欲しいモノを回収する辺り、まぁ慣れてるなぁと。
えぇ、お答えしましたよ。偽名*9でね。

後の世に、「C市零細事業主与信枠不足事件」として語り継がれる悲劇

……え? 玄関口に上げた後、どうなったかって?
私は零細事業主で 与 信 が 不 足 し て い る ので、「次回アポのための聞き取り」で彈かれました。
可哀想に、アポの予約を電話で報告したら上司に詰められた模様。
撤収際に、必死にメモった個人情報 with 偽名の書かれたレポート用紙を切り取って「今後のライフプラン作成にやくだてて下さい」と、一応格好だけは地域開発のためを取り繕って撤退。
そこら辺の芝居はちゃんとやるんですね。
もう、その気にした人が居てもバレバレな流れですが。

お前らも、よぉく見とけよ

以降のアクションは推測になりますが

  • 「面談で物件の購入能力を調査」
  • 「見込みリストとして整理し、必要に応じて提案活動」

という風に、関係性の構築で向こうから買うアクションを取らせるだろうことが予想できます。
不動産は契約価格が大きいですから、こういう長期モデルも成り立つんですね。

最後に

仮にも零細事業主やってる身には、他所様の営業モデルを間近に確認できて貴重な体験でした。
そして、ウチはこういう不毛な事をやらずに済むビジネスモデルを作ろうと、アダマンタイトより固く決心したのであります。
だって、せっかく40分も粘ったのに、駄目顧客じゃあ意味がないじゃぁないですか。
現場の受けがよくたって、決済権有りが首を立てに振らなきゃ買われないのです。
こういう意味でも、やはり五月雨式訪問営業は純粋悪です。
先に見込み客リスト掴んでからやるか、セミナー形式で意識の高いお客を連れてこなきゃあ。

*1:遠回しに国や市が……とでも言いたさ気

*2:よく見ると、「従業員証」

*3:後述しますが、その約束自体は本当

*4:罪悪感を植え付ける

*5:これも罪悪感を植え付けるアクション

*6:誰にでも当てはまる質問の仕方。占い師とかがよく使う

*7:統計上、名前で呼ぶと親近感がでると言われている

*8:これも、親近感を抱かせるため

*9:正確には綴り違い