- 作者: ロベールミュシャンブレッド,Robert Muchembled,石井洋二郎
- 出版社/メーカー: 筑摩書房
- 発売日: 1992/09
- メディア: 単行本
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近代人とは何か……という、分かるようで分からないテーマについて、
その境目の時期にフランスで刊行された裁判記録やなどの生活史、法令などから解き明かしていこうという本です。
以前TLに流れてきた以下のツイートをみていつかは読もうと思っていたのですが……。
『近代人の誕生』を書いたミュシャンブレは「俺の酒が飲めないのか」で殺人まで起こりうるフランス近世の農村社会を「同調圧力」の世界として描いて見せた。翻って現代日本社会は、ミュシャンブレが描いた社会からどれだけ個人が尊重され、どれだけ同調圧力が減った社会かは問う価値がありそうですね。
— せんだい歴史学カフェ (@SendaiHisCafe) 2018年2月16日
(ツイートのそのものはショーもない出羽守の放言ではありますが)
500pオーバーのゴリゴリな人文書なので、土日で気軽に読みこなせる量じゃありませんでした(唐突な自白)。
翻訳のうまさもあって、読書感そのものは重くはないのが救い。
ともかく「野蛮」こそが人間性だとされ王侯貴族も農民も同じ娯楽でゲラゲラ笑ったた中世から、
いかにして田舎者を分離しおハイソな価値観の「近代人」が生まれ、
宮廷から都市へ、都市から農村へとどのように普及していったか。
普及過程で必然的に生じる反発も含め、いわゆる「事件史的」な歴史書とは異なった
民衆視点を中心にいくつかの視点を踏まえてご紹介頂けます。
また末尾にある索引も充実しており、たとえば「狂人」なんてファンキーな項目まで網羅されています。