Bye Bye Moore

PoCソルジャーな零細事業主が作業メモを残すブログ

【読書メモ】東大の先生! 超わかりやすくビジネスに効くアートを教えてください!

駅ビル隣接の大型書店の企画展まわりでリベラルアーツ界隈+ビジネスって本が多くなってきた気がします。
世界的に人文界隈へのゼニが減っているという話も出てますし、まぁ多分存在感を主張してカネの流れを戻したいんでしょうね。
さらながら、仕送りが止められかけて必死に自己弁護に奔るドラ息子/娘。

さて本書も、そういったビジネス本の一つで、ネタはアートです。




曰く、アートは感動させる必要がないと。
古代ギリシアでは学問の類はなんでも哲学という箱に入っていた*1のが、用語や概念が明確化してきたことで数学になったり地理学になったり音楽になったりしている
アートは哲学からの分化過程の中でまだタグ付けされていない概念なんだと
故に、とくに現代アートに能書きが多いのはこれから理論を構築していくところのモンだから共通認識をつくらないといけないのだ云々。
高額なカネが動いているという業界批判に対しても、それ自体が社会へのメッセージでアートなんだと。
……狡い悪党の脱税*2に利用されているだけじゃいんですかね(猜疑心

個人的に本誌から多少拾うところがあるとすれば、現代アートの代表作として出される事が多い引っ繰り返した便器こと「泉」の経緯の話でしょうか。
これは作者が出展自由を謳った発表会に同作品を送り付け、運営が宣言通り行われたか試したテストなんですと。
ポストモダン界隈に対するソーカル事件みたいな話ですね。
作者が主張するところのアート精神的なものを事実として頑張ってる表現者もいるのでしょうが、同様にそれっぽさでアート業界に紛れ込んでる山師も居るような気がします。

*1:それは古代ギリシャ哲学で、一般名詞としての哲学とは分けるモンじゃねぇかと思いますが

*2:芸術作品は価値が減らないため減価償却されない事になっている