俗説に、兵隊は世界最古の職業の一つとも言われています。
その兵隊の一形態として歴史の長い間存在していた「傭兵」に関する新書です。
古代ギリシャの市民軍は「権利」であり「名誉」であった事が知られていますが、
この伝統が領土拡張に伴う貨幣経済の浸透で崩れて、カネのための軍役という流れができたという、中々渋い指摘です。
その後も、カネと暴力の残念な関係が延々と続いていました。
古代ギリシャで、ルネサンス期のイタリアで、あるいはドイツ諸侯で。
広がりすぎた帝国の維持のため、傭兵に権限を切り売り、気付いたら母屋も取られるという天丼ギャグは延々と繰り返されていたという事ですね……。
日本に目を向けると、武士政権の始祖であった平清盛も、そういった傭兵隊長の類であったそうです。
装備を維持するためには所領では足らず、傭兵稼業の多重請負をしないとダメっていうのも実に染み入る話題です。
私ら零細事業主も、仕事道具を維持拡張するために色んな仕事を請けざるを得ないですからね……。
騎行……もとい略奪+ゲリラ戦も、そういう世知辛い経済事情からと思うと、味わい深さが増します。
成果を上げ過ぎても疎まれる、出さなきゃ吊るされるのは世の常。
まして、傭兵稼業も競合ばかりともなれば、八百長に手を出すのも無理もないかと。
実際、ウチの外注先やラボ時代の知人にも、上手く立ち回る奴というのは結構いました。
こういった戦争企業家はコルシカ島のチビ伍長……ナポレオン一世が国民軍をブチあげるまで続きます。