Bye Bye Moore

PoCソルジャーな零細事業主が作業メモを残すブログ

【読書メモ】不穏な熱帯  人間<以前>と<以後>の人類学

ソロモン諸島にあるマライタ島を中心にした地域にすむ「アシ」の人々の取材を通じた文化人類史に関する本です。
「アシ」の歴史観や自然観を通じて、これまでの文化人類学がとっていた自然と人間を分ける考え方について考察をしています。

「アシ」な人々はサンゴ礁を砕いて人工島を作るという事をしてきた集団です。
これは外部(とくに西洋)との接触を通じて入手したサツマイモ*1による人口増圧力、鉄器・銃器の導入による戦争の激化を通じて身に付いた習慣のようです。

人工島という分かりやすい人工物が生活圏にある環境にいながら、その歴史感は独特です。
先述の武器導入による戦争の激化、「法律がきた」*2事による安定の時代を通じて、島の成り立ちについて必ずしも事実に基づいた認識を持っているわけではありません。
「こういう事が起こったらしいが、こうだったかも知れないし、もしかするとこうだったかも知れない」といった、曖昧な感じで理解をしています。
……SNSの正義マンが見たら毛穴という毛穴から体液を噴き出して発狂しそうな見解ですね。

自然から文化・社会に発展していくというのが、旧来型の文化人類学の立場だそうです。
これに対し、思弁的実在論の立場では、自然とそれらは必ずしも相互に関係したものではなく、特に自然は人間が存在しようがしまいが存在をしている。
津波のような災害でフと関係性を意識させられたり、若干の介入を通じてその産物を利用したりしている。

*1:それまでの主食であったタロイモと違って連作障害に強く、対象耕地も広い

*2:要するに海外勢力の植民地化した