なんで手に取ったの
- 作者: 佐藤彰男
- 出版社/メーカー: 岩波書店
- 発売日: 2008/05/20
- メディア: 新書
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というのが、初見の感想でした。
すでに、エンジニア界では有名な
- 作者: ジェイソンフリード,デイヴィッドハイネマイヤーハンソン
- 出版社/メーカー: 早川書房
- 発売日: 2014/04/01
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読書メモ「強いチームはオフィスを捨てる」 - Bye Bye Moore
そして自分の会社でもそうなるよう、就業規則を整えたりリモートワークを実現する各種システムを導入したりしたわけです。
とはいえ、社労士さんに就業規則を見せても、ハローワークに提出しても難儀な顔をされたりと、どうも労務管理まわりの人に理解されていない場合が多かったのも事実。
基本的に他力本願なリベラル論調が大嫌いな私ですが、「今後の事も考えて別の見方の本も読んでおくか」と手に取った次第。
結果的には正解だったと言えます。
「働きすぎ」の認識
本文では主に37シグナルズの本と同様の問題……つまり働きすぎの危険性を指摘しています。
曰く、仕事時間が可視化されない事で延々と働き続け、ついには体を壊してしまう……と。
未来は自分で切り開けな37シグナルズの本と、労働者保護寄りの岩波の本で意見が一致してるのは面白いですね。
高度専門職の「働きすぎ」
ただし、その長時間労働の認識については双方で隔たりがありました。
「強いチーム」の方は、エンジニア個人のヒーロー願望から来るものとして扱っています。
この辺りは、それなりに出来るエンジニアなら何となく理解できるかも知れませんね。
あとチョットやれば素晴らしいプロダクトが完成するぞ! 多少健康を害しても絶対完成させたい!
本文中では、その感情を抑えるべきだ、より良い仕事をしたければ、ヒーローにはなるな、と提案してるわけです。
ここまでは、私にも腑に落ちました。
実際にそうならないよう、自分でもそうしないよう、色々と手立てをしています。*1
一般職の「働きすぎ」
岩波の本は更に突っ込んで「事務方」や「営業職」にリモートワークが適用された場合について、実際の取材をもとに事例を挙げています。
単純にリモートワークといったって、37シグナルスのように高度な専門職の仕事ばかりじゃありません。
日々の伝票、営業日誌、夜中にきたメールの処理と仕組みが整っていさえすれば、どこでも完遂できる業務が溢れています。
オフィスがあれば、席に座ってる時だけやればいい。
じゃあリモートワークで、24時間どこでも出来るなら、どうなるか?
承認欲求と情意考課狙いが混ざり合った、仕事圧力に屈して夜通し業務をしかねないのです。
私の体験
この辺り、私も覚えがあります。
欧州や米国からの発送メールは時差の都合で日付変更前後にきます。
就寝前に一ヶ月の売り上げの内2割ほどを占めるような取引のメールを確認してしまうと、
「安心して眠りたい」という口実で到着後即レスしたい衝動に駆られるわけです。
これが、よく無いんです。
結局、気が立って浅い眠りになれば翌日の業務に響きます。
これが積み重なって……日に日に生産性が落ちて……新しい仕事を興すための創造性も同様に犠牲に。
結局、一大決心をして日没後は業務メール禁止令を自分に課しました。
が、これは私が経営者だからでしょう。
雇われなら、踏ん切りがつかず継続していたはずです。
本文でも、こういった事例がいくつか紹介されていて胃が痛くなってきました。
長時間労働以外のリモートワークにおける課題
他にも色々と事例やデータが紹介されているのですが、大雑把にまとめると
- リモートワーク化が進むと労働者の横のつながりが希薄化、激務でも認識が持ち辛い
- 仕事と私生活の境界が曖昧になる
- 非専門職の業務は需要と供給のバランスが後者より。要するに請負単価が安い。*2
と、少なくとも読む前は明確に意識できていなかった視点を得て、非常に勉強になりました。
さいごに
読後感はお世辞にも良くはありませんでしたが、良薬口に苦し。
多いに知見を反映して、ウチが理想のリモートワーク環境と言ってもらえるようにして行きたいですね。