Bye Bye Moore

PoCソルジャーな零細事業主が作業メモを残すブログ

【読書メモ】スタートアップ・バブル 愚かな投資家と幼稚な起業家

愚かな投資家と幼稚な起業家とは中々厳しい表現を使うなぁというのが第一印象。
著者は50歳でニューズウィーク社をクビにされ、何をトチ狂ったかスタートアップに転職した人物。
元は技術系記者というだけあって、業界にはそれなりに通じています。

転職先は「ハッカーと画家」で書かれた良くない企業……つまり、華麗な営業チームが爽やか且つ情熱的スピーチで出資や大型案件を決めていくタイプの雰囲気商売のダメ企業。

徹底的に王道から逸れた経営陣と、年寄記者(作者)の不毛ないがみ合いは、巷の俗説「アメリカのスタートアップは経験豊かな壮年社員と若手が協力して」などというのが戯言に過ぎない事を示しています。

とはいえ、この作者自体も相当に癖のある人物ではありました。
終始、賢い俺様と無能なガキ共という目線。
はてダで話題になった、日立から転職失敗した意識高い系が居ましたが……あれを更に重体にした様な感じです。
例えば、序文にて以下のように吼えております。

彼らは上から言われたことをうのみにする熱狂的な信者で 、自分でこしらえたフィルタ ーに守られた世界で暮らしている 。自信と自己愛にあふれ 、批判や現実などものともせず 、外の世界から自分たちがどれほど滑稽に見えるかに気づいてもいない 。

……業界雑誌というフィルターの中で自己愛満々で好き勝手生きてきた初老羽織ゴロの発言と見れば実に味わい深いデスネ。

出勤初日に上司が年下だという程度の事で噴き上がったり、年齢差別だと怒り狂った次の章で自分の失言は下ネタだジョークだと開き直るなど、ザッツ俗悪マスコミという有様。
元いたデスクに残ってる記者もいただろうことを鑑みると、追い出した側も正直安心したんじゃないでしょうか。

まとめると、自己正当化と偏見の悪臭が鼻につく地獄のような内容で、私に堅実に商いを進めようと固く誓わせたという意味では非常に有意義な本でした。