Bye Bye Moore

PoCソルジャーな零細事業主が作業メモを残すブログ

【読書メモ】日本人は災害からどう復興したか

江戸時代の災害復興の古文書から、
そういった災害から日本がどのように復興してきたかを読み取っていくという本です。

支援食糧の方策を巡るゴタゴタは当時からあったようです。
機械的に配布する方式では不正受給を避けるためやや少なめに分配され必要な人に行き届かず、一定の蓄えをもった半富農は「貰えるのものは貰う」と蓄財に奔り震災前より豊かになるケースすらあったとのこと。
この問題、コロナ支援金で同じような状況が正に発生していましたね。
本書で紹介されたケースでは地域グループ毎に必要量を算出し、それを地域の信用出来る担当者の裁量で分配するという方法でした。
これであれば実情を反映し易いですし、必要以上に受け取ろうとする輩は以降の地域社会での立場が悪くなる事を恐れて迂闊な行動を起こさないという事でした。

ベーシックインカム等々、リベラル層の主張するバラマキ策に漠然とした警戒心があったのですが、この事例をみて違和感を説明できる言葉が得られた気がします。
本書の取り扱い範囲は農民、つまり地域に根差した生活者ですが、知的労働者だの団体職員などは寄生先地域を取っ替え引っ替えするものだという偏見をどうしても持ってしまいます。
石巻に展開していた非地元系のホテルや量販店は東日本大震災以降、二束三文で資産を売り払い撤退、復興に協力する事が無かった等々……こういう話は世界各国でうんざりするほど事例があります。
私の持っていた偏見は「盗るだけ盗って他所に移動する癖にお為ごかしをキメるな」という事だったのでしょう。

愚痴はともかく……大衆の行動様式には時代を超えた普遍性はやはりありそうなので、今後も同系統の本は読んでいこうと思います。