ソフトロボティクスの本かと思い手に取ったのですが、素直にタイトル通りの実際にはロボットと人間の関係性のお話でした。
著者は「人工あい」*1という概念を用いて、
人間にとって心地の良い場所を提供するシステムを提案しています。
きっかけになったのが、ネットで話題になった「レンタル何もしない人」というのが中々キャッチーですね。
著者の考えでは、人間は冒険ないしチャレンジをしたいものだが心理的負荷から実行に移せずにいるものの、そこに優しいロボットが寄り添う事で負荷を下げて可能性を広げる事ができるという未来がくる……そうです。
昔からテキストにパターン化された応答を返す人工無能というのはありましたし、最近ならコメントに動的に応答するAI Vtuberなんてのも流行っています。
「AIあい」はもう少し踏み込んで、ケの日でも生き続ける、生活に溶け込んだデバイスを想定しています。
レンタル何もしない人と同様に必ずしも好意的フィードバックをせず居るだけでもあり得る事、所有者との関係性を除いても存在しえ自律性をもつこと*2、定型句だけでなく過去のやりとり(=記憶)から応援する内容が動的に変わっていくといった条件が挙げられています。
要するにファービーやAIBOの凄い賢い奴ですね。
技術屋としてコンセプトは同意したくありますが……カーネギー博士の「人を動かす」の事例と同様に人間の善性を信用しすぎな気はします*3。
2023年3月19日追記
などと書いていたら、OpenAIのGPT-4が話題の文脈を理解しながら応答しているとしか思えない挙動を見せ、業界がひっくり返っています。
普段冷笑的なテックギーク層ですら驚いているので、もしかすると本当に寄り添うロボットが実現するかも……??